近畿学校保健学会

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 近畿学校保健学会へのそのときどきの想い それぞれの立場からみた50年のあゆみ
 

学校歯科医から見た近畿学校保健学会の50年の歩み

  
藤居正博


近畿学校保健学会が50年目を迎えられ昭和28年に設立総会が開催されている資料に接し諸先輩方の学校保健に懸けられた努力と情熱に思いをはせ、現在の学会の隆盛の源を創られ発展に尽力された方々への念で一杯であります。

学校保健分野の一翼を担う学校歯科保健は学校保健の充実と共に時には別の形で発展してまいりました。近畿学校保健学会の黎明期であった昭和20年代の後半から昭和30年代初め頃までは身体検査の一部として歯の検査があり、昭和33年の学校保健法制定によりう歯およびその他の歯疾の健康診断を学校歯科医が担当することが明文化されました。現在も学校歯科保健統計として貴重な資料となり、連綿と続く学校歯科保健の基礎となる数値となってます。近畿学校保健学会50年の研究発表を見てまいりますと歯科保健関係の発表は大変少ないことを改めて認識いたしました。ここ10年余り自分も学会評議員をさせていただいて、発表は1〜2回であることを思うとまことに申し訳ないことです。その理由を考えてみますと、学校保健学会は教育大学(教育学部)、学校三師、学校教職員等で組織され研究発表の場として存在しておりますが、学校現場の実践報告よりは学術的な研究が対象とされているようで、ほとんど全て開業医である学校歯科医にとっては敷居の高いところと言えるでしょう。学校歯科医として、現在数万人が委嘱されておりますが、残念ながら学校保健活動を積極的に取り組もうとされる方は多くなく、また、学校によって受け入れていただく態勢もまちまちで思いの行き違いから大変残念な状態になっている例が歯科医師会の学校保健担当役員として見させて頂いて多くあります。学校歯科保健活動は通常、学校歯科検診や学校教育活動で見出された児童、生徒の健康課題や文部科学省(文部省)、教育委員会からの健康教育指定研究の一分野として取り組まれることが多く、教育委員会や学校歯科医会(歯科医師会)の協力のもと学校やPTA、地域が一体となって研究実践が開始されるが教職員の共通理解を得るのに時間が掛かり2〜3年の指定期間は瞬く間に過ぎてしまいます。それがため、すでに実績のある学校や地域を選択されることも多いのですが課題選択を誤ったり、人を得ることが出来ず期待していた評価に繋がらないこともありました。学校保健の進めやすい学校、地域と進めにくい学校、地域があることが判ってまいりました。また、この違いは時や人にもよるようですが、学校保健の基礎はどの学校にもしっかりと在り、地域、児童、生徒の特性を生かしつつ特色ある展開をされている所は情緒的ではなく、しっかりとした課題意識の上に議論を重ねられ論理的な構築がなされております。それ故、いかなる段階や状況でも再検討や再構築が可能で結果の評価段階では遠回りをしていた様に見えていた取り組みが素晴らしい成果に結びつくことも多くあります。教育活動の中で歯科保健のみを対象とすることはあまり意味が無く、あくまでも教育活動の学校保健の一分野であることを認識し教材としての普遍性、入り口としての分かりやすさ、結果評価の確実性等が歯科保健に取り組まれる理由に考えられ、児童生徒や家庭にフィードバックできる取り組みにするため全体の心身への広がり、健康観の育成、環境整備、「生きる力」の育成に結び付く保健活動となる必要があります。これら、教育活動の中での学校歯科保健の取り組みは児童生徒の行動変容や「わかる」「気付き」のかたちで評価できますが、学会などへの発表にはなじまないようです。変化や結果が数値や客観的評価に耐えられる研究は大変少ないとおもいます。

平成7年度からの学校保健法施行規則改正やWHOの提唱するヘルスプロモーション理念に基づく学校保健が、より科学的根拠のある保健行動や、学校という集団での歯科保健のあり方について変化が求められ疫学的調査や研究指定校を通じた取り組みにも理論的根拠のある実践化が求められつつあります。学校歯科保健もかつてはう歯を中心とした活動が殆どでしたが生活環境や健康診断項目の変化に伴い、より実践的指導に結ぴ付く歯周疾患や歯垢の項目、未病段階での要観察歯・歯周疾患要観察者、スポーツ外傷予防のスポーツ歯学等、生活全般にわたる指導を健康の窓口としてまた、健康教育の教材として期待されることが多くなっております。学校保健学会へも子どもたちの健康づくりを目指した取り組みの発表が今後期待できますが、学術的な論理を積み重ねた発表よりも、子どもたちの生活や心身の変化を表わした発表が増えるものとおもわれます。

 

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