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第42回近畿学校保健学会印象記(4)
大阪府立大学 中神 勝
朝9時JR宝塚線三田駅前ロータリーを発った特別仕立ての送迎バスが到着した兵庫教育大学のキャンパスは、全体を青葉若葉の緑一色に囲まれた丘陵地に聳え立ち、余裕を持って配置された棟やグランドの随所に、自然と人工との見事な調和を誇り、指導者養成大学に相応しい、エネルギーに満ち溢れた佇まいであった。
会場に充てられた共通講義棟の各講義宝(四会場)間の移動や評議員会、総会、休憩室などの配置も見事であり、到着して早々「お早よう」の挨拶で迎えられた受付から、終始円滑な運営は見事であった。午前10時30分を期して開始された一般発表は、第一会場(養護教諭、保健室及び保健学習関連8題)、第二会場(運動、栄養、生活習慣及び健康関連8題)、第三会場(ストレス・精神保健、幼児、環境・薬物関連9題)および第四会場(AIDS・性教育、スポーツ障害・学校安全関連7題)にわたって合計32題が報告されたが、学校保健が追求する不変のテーマから時宜を得たもの、個から集団、幼児から学生へ、また、復健、保健そして増健へと内容も広範にして、総合的なものなど例年以上に学際的な色彩が濃厚であった。会場での活発な質疑応答にその証しを見た。
昼食、評議員会を経て、総会に入ったが、慣例に依り、前学会長八木教授の司会で、勝野学会長挨拶。林幹事長による会務報告、次年度事業計画案など資料提供が極めて手際よく進められ承認された。
勝野会長が謙虚で、淡淡と話された本学会のテーマを一般発表を終えた段階で垣間見る思いであった。
それを“学際”“総合”と感じたのは私だけか。
特別講演は学会長(勝野)の座長に依り、「子どもの病気と予防接種」と題し、上田重晴教授(大阪大学微生物病研究所、神経ウィルス分野)からなされた。昨年10月、予防接種法が改正され、新しい予防接種制度がスタートした時期に、予防接種の意義、安全性そして予診のありかたについて、正確でわかりやすい講演を聴き、大いなる意義を感じた。
少憩を挟んで、渡辺助教授(事務局長)の座長により、シンポジウム「子どものライフスタイルと健康間題」が行なわれた、松浦講師(五色町健康福祉総合センター所長)は、地域と学校との見事な連携で実施しているアイディアー杯の健康教育の成果を、長谷川講師(西脇市立重春小学校養誰教諭)は、13年間にわたる児童の生活実態調査と「私の健康」と題する書き込みノートの活用を通した健康教育の推進を、石川講師(文部省体育局体育官)は、自ら体験、実感する教育の展開、知識偏重教育から脱し実践活動の励行を推奨した教育の重要件と課題解決的学習の必要性を、川畑講師(神戸大学発達科学部助教授)は、包括的な学校保健増進プログラム(KYB)の紹介と、そのアメリカにおける指導成果を報告し、併せて、日本版の開発を急ぎ、既に日本においても地域との連携の中で成果を上げつつある。等々、課題に対する的確なる提言がそれぞれ行なわれ、時間の経過を惜しみ懇親会に入った。会場は程近くの嬉野生活会館であった。山海の珍品・珍昧、乾杯の音頭は出口名誉教授(第26回大会会長)であった。喉が潤い、胃袋が満たされると舌も白然と滑らかに、医歯薬、獣、文理、教育、体育など多士済々も健康学の旗の下、見事にインテグレートされ、近畿学校保健学会の発展、独自性など沸騰しつつある中、当番大学事務局長の閉会の挨拶があり、次期第43回大会(大阪市立大)での再会を約し散会した。
それにしても歴代役員諸氏の夢の実現に向け数歩近づいた、学際的で格調の高い学会であった。勝野学会長をはじめとする当番大学各位は勿論、多くの関係者に対し深甚なる感謝を申し上げる。そして大震災に依る未曾有の被災にも屈せず見事に果たした第42回大会を、間違いなく発展への小波から大波への兆候と見たのは老眼の私のみではないと考えるが、如何。
―平成7年8月31日 近畿学校保健学会通信 No.82 より―
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