近畿学校保健学会

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 近畿学校保健学会へのそのときどきの想い 第 III 期
 

第42回近畿学校保健学会印象記(3)

京都教育大学  松浦 賢長


「晴れた!」。京都、学会の前日は雨。当日の早朝、ウインドシールドには小雨が落ちていた。が、 朝7時、空は初夏の晴天に変わった。「幸先よし! 絶好のドライブ、いや、学会日和!」。気合いを入れて走り出したのだが、あの天王山トンネルを渋滞なしで抜けた頃、高速道路のサインボードには「渋滞、2時間以上」という無情のドットフォントが踊る。「問に合わないかもしれない!」。あのサインボードに嘘偽りがなければ。間髪を入れず渋滞の最後尾に。1時問ほどでようやく数キロすすみ、気づけば、衝動的に高速道路を豊中で志半ばで降りていた。その後、震災の影響を残す街並みを縫うさらなるひどい渋滞に天を仰ぎながら、再び宝塚で高速に乗ったのは10時を過ぎたころ。最後には社の丘の下の一直線の農道を走り抜け、なんとか一般発表前半に滑り込むことができました。しかし京都から社まで結局4時間を要してしまいました。そのため最初の2題ほどの発表を聞きそびれ、悔いを残しましたが、ここに学会の印象言を書かせていただきます。

「教育大学」に勤める者として「兵庫教育大学」には興味がありました。丘の上の広大な敷地にひろがるキャンパスは「羨ましい」の一言です。午前の一般演題発表は、聞きたいものがたくさんあったのですが、生憎多くが重なっており、結局欲張らずに1ラインに絞り込んで聞かせていただくことにしました。

2年前の和歌山では、正直言いまして本学会のローカル色に驚樗をおぼえたのですが、その後、幹事長の 林 正 先生のお話を聞き、地方の学会の役割に対する認識を新たにさせていただきました。今回はそのような視点をもって参加させていただいたのですが、期待通り、全国規模の学会では得られない、いわばdown to earthなよさを見いだすことができました。たとえば、アットホームな雰囲気の中での様々な発表スタイル、現場の先生方の率直で活発なご意見、比較的余裕のある進行時間、地方のユニークな活動の紹介、等々です。ですが、個人的には、もう少し質疑応答の時問が長ければ、リラックスしてディスカッションでき、様々な角度からの興昧深い意見が得られたのではないかと思います。

評議員会をお昼に済ませ、上田重晴先生による特別講演を聴きに参りました。わたしは「母子保健学教室」出身であり、指導教官であった平山宗宏東大教授の専門の一つが予防接種でもあったため、予防接種には大学院時代から強い関心を持ってきました。大学で教鞭をとるようになると、なかなか人様の講義を聴くということが億劫になってしまうのですが、今回の上田先生のご講演により、エボラ出血熱や予防接種法改正などのトピックスについても勉強させていただきました。ありがとうございました。わたし白身、平山先生のもとで、MMR接種後の無菌性髄膜炎の発生率について研究していたこともあり、ぜひ上田先生にお教え願いたいこともあったのですが、時間切れとなり、少しばかり残念ではありました。

そしてシンポジウムに移ります。五色町がどこに位置するのか、わたしはそんな知識さえなかったのですが、Goshiki Health Studyについては、しばしば誌上で目にすることがありました。Prospective Study というのはとても大変である、ということは研究者として痛いほどわかっていますので、松浦尊麿先生のご研究の重要性・希少性には頭が下がる思いです。また、松浦尊麿先生は、地域医療・保健にかかわる研究者・実践者としてだけではなく、教育者としても非常にユニークであるということが、スライドからひしひしと理解でき、とくに健康教育の手作り教材の秘伝が淡路島だけに伝承されるのは、もったいなさすぎると思いました。
長谷川ちゆ子先生にも、一つのテーマについて10年以上にわたる継続調査を行い、たいへん興味のある、そして説得カのある報告をしていただきました。今後、たとえば10年後には子どもたちのライフスタイルがどのように変わっているのか、また是非お教え願いたいと思います。
そして文部省の石川哲也先生には、保健教育の今後について、中央審議会の最新動向まで含め、たいへん示唆に富んだお話をいただきました。わたしが、まだ大学院に在籍している頃、石川先生に本郷で焼き肉をご馳走になったことをふと思い出したりもしましたが、その頃は、先生が具体的に何をなされているのかもあまり存じあげませんでした。しかし、今回、先生のお話をお伺いし、週休2日制やティーム・ティーチングと保健教育の関連などがよく把握でき、また先生のPerspectives もすーっと理解できたように思います。
最後は、川畑徹朗先生のとてもお上手な話術で、KYBの紹介をしていただきました。わたしもかなり米国にかぶれていますが、KYBについては勉強不足でして、早速、大学院生をJKYBの研修に参加させることにいたしましたので、よろしくお願いいたします。

最後に、林 正 先生にとっては留学同窓生であり、わたしにとっては博士課程審査教官であった東郷先生(本年度より神戸大学発達科学部)に会場でお会いすることができ、非常に心強く思いました。人と人とのつながりの大切さがみえてくる学会、そんな感想を持ちました。ありがとうございました。


―平成7年8月31日  近畿学校保健学会通信  No.82  より―

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