鳥取大学教育学部 教授 松本 健治
第41回近畿学校保健学会は平安建都1200年記念協賛も得て、6月11日(土)に京都大学総合人間学部の八木 保 教授のご尽力で実り多い成果をあげられて終了した。当日は前日までの梅雨空から打って変わり朝から天候に恵まれ、多くの方々の出席がみられた。
私事で恐縮であるが、この学会に私が初めて参加したのは恩師武田眞太郎先生が第22回の年次学会長となられた昭和50年からで今回で丁度20年となる。その間、武田先生が幹事長を務められた6年間、私は幹事長の補佐として拙くはあったが、学会通信の作成や近畿6府県を一巡する年次学会のお手伝いをした。
武田幹事長時代に学会参加者による学会印象記が学会通信に掲載されるようになった。今回、八木教授から印象記を近畿圏外の参加者として書くようにとの指示があり、かつてこの通信の編集を担当したものとしては何か因縁めいたものを感じた。現在、私はとなりの中国・四国学校保健学会にも参加するようになり3年目となるが、両地方会の比較も若干含め、当日感じたことを述べてみたい。
午前中は3つの会場で29題の−般研究発表が行われた。ちなみに本年山口で行われた中・四国学会では19題であった。これは会員数の差によるものと思われる。私は今回は共同研究者の発表や自分の研究テーマに近い発表の行われた第2会場で、午前中拝聴させていただいた。日本学校保健会の「健康診断調査研究委員会報告書」が本年3月に提出され、胸囲を除く、身長、体重及び座高は、健康状態の評価のための最も基本的な項目であると述べられているが、これらの項目を活用した研究報告が5題、それぞれ、独特の観点で発表されたことは、非常に心強く思った。特に座高のデータを活用された神戸大の横尾教授の下腿長推定のための研究発表は大変示唆に富んだものであった。
ところで、中・四国学会の理事会(世話人会)では、研究発表者の固定化と高齢化が議題としてあがる現実と比較して、本学会では若手研究者の発表が多く、研究者が着実に育っており、本学会の底力を感じた。学会員の確保や学会活動の充実のknow‐howを中・四国学会にも是非活かしたいものだと思った。
今回、評議員会と総会で、本学会の発展に多大の功労があった北村、橘、中牟田の年次学会長経験者の3先生が名誉会員に推挙されたことも大変喜ばしいことであった。
午後からの特別企画は学校保健の基礎科学である医学の現在と過去が取り上げられ、大成功の企画であった。現代医学については、内分泌学の世界的権威である京都大学総長の井村裕夫先生による「健やかな身体と心の調節」と古代の医書に直接取り組んでいる菊池寛賞・エイボン功績賞作家の 槙 佐知子先生による「平安朝と医心方」の講演があった。 井村先生は、最新の知見を大変わかりやすく、お話し下さり、結論として健康の維持にはストレスへの対応と生体のリズムを乱さないことが重要と締めくくられた。 槙 先生はお人柄の素晴らしさがにじみでる口調で、平安絵巻の世界だけでない時代背景や葵祭の由来なども混え現代にも伝わる風習をお話し下さり、多くの会員がもっと聴きたいと思ったに違いない。
最後にこの拙文を書く機会を与えて下さった 林 幹事長と八木年次学会長に感謝いたします。