近畿学校保健学会

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 近畿学校保健学会へのそのときどきの想い 第 III 期
 

第37回近畿学校保健学会 印象記
学会の成果を、学校現場にどのように生かすかが課題

大阪成蹊女子短期大学  福本 絹子    

梅雨の最中とは思えない程の好天に恵まれ、大阪において第37回近畿学校保健学会は開催された。
一般講演では、第1会場に出席し、メンタルヘルス、カウンセリング、疾病・障害、運動の発表を聴いた。印象としては、近年になく内容が具体的であったこと、特に「飛び込み時におけるプール事故防止対策への一考察」と題して、飛び込む児童の入水角度と体重が潜水深度にどのように影響しているのかを、モデル人形を用いて実験された結果の報告が、特に印象深く思えた。

学校現場の教職員にはこうした研究成果がすぐに役立であろうし、学校保健・安全・性教育を行うにあたって、分かっているようで実際にははっきり分かっていないこと、解明されねばならないし解明して欲しいことがらがいかに多いかを、常日頃から思っている私にとっても、こうした研究報告はありがたいものであった。

ただ、こうした成果を学校現場へどうしたらよりよく伝えることができるかということである。本学会が開催される時期的な理由や、校長命令で参加する講習会や研修会、所属している研究会等への参加で出張回数がかさみ、学会にまで参加できる人が少ない実態も何等かの方法で解決しなければならない問題であると思う。
学会長講演は、子どもの発育・発達の変化を実に長い推移の中で統計的に分析して解かれ、現代っ子の特徴は勿論のこと、その将来までもが見えてきた。                                                                                                               

そうした子どもを相手に我々が、保健は保健で考え、体育は体育のやりかたでやるというのではなく、保健と体育の補完のありかた、静的教育と動的教育の相乗効果への期待など、保健と体育の接点で今後どのように教育して行くべきかについての考え方をとかれ、新鮮な刺激を得させていただいた。
特別講演の、「輸入感染症と子どもの健康」は、特に感染性下痢症に限ってお話をされたが、講師の先生の豊富なご経験と資料が紹介されるにつれ、国際化が進み、海外渡航や食材料の輸入率が増加するにつれて、感染性下痢症の恐怖が日常的になっていることは承知していても、これまで深刻なことになっているとはと、驚かされた。

そして、この科学文明の時代においても、子どもたちの健康を守るには、手洗い指導の徹底や生食を避けること、冷蔵庫の管理を含めて日常の調理を衛生的に行うなど、従来からある自衛の手段・誰にでもできる消化器伝染病予防の基本的なことがらを日常的に行うことが最も大切であることを教えられた。
日頃の教育の中でなおざりにされがちな保健指導の重要性を強く感じたことであった。

新しい試みとして行われた会長要望課題は、都市化されている環境の下での子どもたちの実態を明らかにし、学校保健の意義を再確認しようとしたものであったが、時間不足のために、発表に続いての参加者による十分な討議ができなかったのが残念であった。
引き続きこのような企画を期待するものである。

――平成2年8月31日 近畿学校保健学会通信 No.67 より――

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