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第33回近畿学校保健学会 特別講演 (1)
“The importance of individual differences in rates of maturing in schoolchildren” J.M.Tanner (Emeritus Professor of Child Health and Growth, Institute of Child Health, University of London)のまとめ
座長 滋賀大学 教授 林 正
学童の成熟速度における個人差の重要性について、2つの観点から16枚のスライドを用いての説明がなされた。
一つの観点は発育速度を考慮した発育曲線についてである。児童の身長計測値をもとにして、6〜18歳位までの縦断的資料による発育速度(発育増加量)曲線をつくることで、成長の早いもの、遅いものを把握することができる。この場合平均値は個人の代表値としての意味をもたなくなっており、個人差を全く無視したものとなっている。従って平均化した発育速度の標準を求める場合はPeakを示す時期を一つになる様に再配分した上で求める必要がある。この発育速度を考慮した標準が個人の発育を追跡するために用いられなければならない。二つめの観点は思春期発育の個人差についてである。思春期に個人差が最も大きくなることは、この時期における生徒の理解にとっては大切なことである。早熟のものが晩熟のものより有利な条件(早熟のものは晩熟のものより良い適応を示し、より外向的で 心配もなく神経質でもないこと)にあり、晩熟のものが希望を失い、運動を中止したり、社会的な競争や人との交わり等であきらめたりしない様に、両親、教師や医師の介在が必要である。
特別講演中のTanner 名誉教授
(写真提供:林 正)
そこに何が起っているのかを指摘してやり、力や技量の点ではやがて友人に追いつくのだということを教えて安心させてやることは大変重要なことである。思春期の時期の個人差にはもう一つの原因があり、個人のなかには思春期の段階を早く通過するものもいるし、遅いものもいるということである。これらの相違はホルモンのレベルが鋭く変化するか、緩慢に変化するかということを反映しているし、またこのことは重要な心理的、社会的な影響をあたえるものである。
以上のように、子どもの発育のTempoは大きく異なり、とりわけ思春期においては社会的行動や教育にとって重要なかかわりをもっていることを示している。
質疑応答:大矢先生(滋賀医大)から、Tanner教授の文献による小児の身長発育の計算式が理解しかねるとの質問がなされた。Tanner教授より日本人の基準の検討は三野先生(兵庫教育大)が試みているので、それらを参考にして検討していただければ幸いであるとの回答がなされた。
――昭和61年12月15日 近畿学校保健学会通信 No.56 より――
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