近畿学校保健学会

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 近畿学校保健学会へのそのときどきの想い 第 III 期
 

第31回近畿学校保健学会 シンポジウム
「最近の青少年の心身の発育・発達と学校保健」

司会  上林 久雄


最近、わが国にみられる急激な社会変化は、さまざまな面で発育・発達期にある青少年の心身の健康に影響を与えている。特に最近の青少年に見られる発育加速度現象や心身の発育発達面での「アンバランス」、さらに心の「ゆがみ」等が学校教育面で多くの問題をなげかけ、論議を呼んでいる。これらの青少年の行動に対して、学校保健がより望ましい健康を目ざしてどのように対応すべきかについて、今回御出席のシンポジストの先生方よりそれぞれの立場より問題点を出して頂き、会場の先生方とともに論議を積み重ね、明日の学校保健へのアプローチの一助ともなることを期待して本シンポジウムがおこなわれた。

まず、本庄康一先生(大阪市立百済小学校)より小学生の心身の発育・発達の現状を中心として、小学校での問題点が提起された。特に、小学生の心身の発育発達状況の「アンバランス」を小学生の疾病異常の変化、小学生の「遊び」の量的質的変化にともなう筋力面の発育低下の問題、さらに、家庭での親の役割の変化にともなう家庭指導上の問題等が、長年月をかけて行ってこられた保健指導の経験や調査資料にもとづき発表された。

また、田中桂子先生(大阪市立夕陽丘中学校)より養護教諭の立場から現在の中学生の心身の発育発達面での「アンバランス」現象としての中学生の幼稚性、いじめっ子の問題、筋力低下による外傷の増加、さらに登校拒否生徒の実態等青年前期における中学生時代の心身の健康面での問題点を指摘された。

これら2人の現場の先生方の問題点を受けて、吉田?延先生(大阪市立小児保健センター)から小・中学生の心の「ゆがみ」現象を登校拒否生徒の事例とその指導を中心として、永年小・中学生の精神衛生相談をおこなってこられた体験や経験を通して発言され、これらの小・中学生に対して家庭及び学校での教育ストレスをやわらげ、さらにあせらず時間をかけてこれら小・中学生に接触することにより必ず健康な状態に立直らせることができることを力説された。

最後に大山良徳先生(阪大健康体育部)より、青少年の身体発育及び体力面についての年次変化を全国的視野で新しい指標を用いて観察分析された長年にわたるデータの発表があり、現代の青少年の身体の発育や体力面の変化が生活習慣や地域差により大きく影響されていることが報告された。

これらの諸先生の問題提起について、会場より「登校拒否生徒についての事例とその問題点」、「これら問題点についての学校保健との具体的なからみ合い」、さらに「保健学習との関連性」等について活発な質問や討議がおこなわれたが、最後に、
(1)現在の青少年の発育・発達の現状から、旧来の学校保健法を中心とする学校保健では対応できず、新しい時代に向って学校保健の再構築が必要であること。
(2)とくに、学校保健活動がCareやServiceの面からPlayの指導面まで拡大されること。
さらに、今後の学校保健は学校だけでなく、家庭教育の面まで進出することが重要であること、がまとめられ、約2時間にわたるシンポジウムを閉じた。
最後に御多忙中ご出席され、貴重な問題点を提起して頂いたシンポジストの先生方にお礼申し上げます。


――昭和59年9月5日 近畿学校保健学会通信 No.50 より――

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