近畿学校保健学会

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 近畿学校保健学会へのそのときどきの想い 第 III 期
 

第23回近畿学校保健学会の開催にあたって

第23回近畿学校保健学会 会長  山岡 誠一


 昨夏、和歌山での学校保健学会の席で、第23回の学会が京都で開催することに決り、はからずも私がその会長としての世話役をおおせつかって以来、あのようにしたい、このようにしたいと思案しているうちに半年がすぎました。郵便料金の値上げ案の参議院通過を耳にして急いで幹事の皆様のお集りを願い、よきアドバイスを得てようやく学会の開催要項を決定いたしました。

 近畿学校保健学会も発足の声があがってからはや四半世紀、学校保健関係の諸先輩の情熱によって発展を続けて参りました。しかし、過去に幾度も論議されながら未解決の問題を抱えていることも事実であります。その一つに会員が固定していないことが挙げられます。学会は約100余名の評議員の先生方によって支えられていますが、固定した会員は武田前会長から受け継いだ40余名(うち約半数が評議員)であって、学会に参加された多くの当日会員で活況を呈するのが現状であります。参会者の多寡はもちろん準備したプログラムの是非によりますが、世話係としては会場をどのくらいの規模にすればよいか、印刷物その他をどれ程用意するか、また案内状の発送先は……等々、予算との関係もあって悩みの種となっています。

 次に「学校保健(会)」と「学校保健学(会)」の関係であります。前者は学校保健に関する教育の現場での実践活動であり、後者は学校保健をはぐくみ育てる学問であって、学校保健学会は学術陶冶の場でなければなりませんが、教育の現場で活躍される諸先生方と大学を中心とする研究者のセクショナリズムが根に潜み、ときに頭をもたげて参ります。私はこの方面の専門家でありませんが、理論や科学的根拠のない実践は効果が少なく、また現場を無視した机上の空論も意味がないと信じています。かって、“日本の体育学は輝かしい華を咲かせているが体育の現実は凋落している”と評した人がいます。学校教育の基盤であり培地である児童生徒の健康の増進は、学校保健学と学校保健活動が融合することによって成果が得られるものと思います。

 第23回近畿学校保健学会は、教育の場で日夜苦心を重ねておられる学校医、学校歯科医、学校薬剤師の方々や、学校保健主事、養護教諭その他の関係諸先生方の、実践を通しての身近かな研究成果の報告を承るとともに、医学、教育学、心理学、体育学等広い範囲から学校保健に関する科学的な研究業績を理解しやすく披露していただき、両者が互いに表となり、また裏となって語り合い、論じ合い、そして理論の貧困に悩む実践者と、研究素材の不足に悩む研究者とが交流を盛んにする場となることを願っています。これがまた近畿学校保健学会の固定した会員の増加に繋がるものと考えています。

 今回の学会の特別講演や、シンポジウムのテーマとして“健康と体力の問題”をとりあげたのも、単に私が発育や体力に興味を持っているからではなく、学校教育のなかでの身近かな健康や体力づくりの諸問題を科学的に把握し、明日の教育の場に活用していただくとともに、実践活動によって得られた成果を学問的に裏づけ、かつ現場での疑問を究明し隘路を解決する絆としていただきたいためであります。
学校保健関係の皆様、堅苦しく考えないで発表に、また討論に振って参加され、学会を盛り上げていただくことを切に望んでおります。


――昭和51年1月20日 近畿学校保健学会通信 No.29 より――

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