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第18回近畿学校保健学会を終えて
神戸大学教育学部 教授 佐守 信男
明治5年、わが国の義務教育を指向した学制が発布されて、昭和47年の今年でちょうど百年になる。その当初から、<人命尊重>の理念は、教育界になければならぬものとしてはっきり重視されて
いた。それは、当時の教員養成機関である師範学校の教育課程に「養生」や「生理」が重要な科目として計画されていたことからもわかる。
もちろん、そのころは、わが国の学校制度はまだ確立されてはいなかったが、明治30年代になって、昭和20年の終戦までの約50年間の長きにわたって定着したわが国の学校制度が確立する。この間、こんにちの表現でいえば、<学校保健管理>が教職専門科目として、<保健教育>が教科専門科目として、義務教育の教師となるべき全生徒に必修であることが、少なくとも法的には続けられていたのである。
それが、戦後の教育改革によって、義務教育は、小、中学校の9年間となったけれど、それにたずさわる教師は、教員養成大学で、<学校保健管理>も、<保健教育>も、必ずしも修得してはいないということになった。
ところで、ひとは、昭和33年に「学校保健法」が公布されて、<人命尊重>を旗印とした学校保健が、「学校教育の土俵の中に」、法的にも、はっきり位置づけられたというけれど、また、学校保健関係者の努力にもかかわらず、これでは、学校保健は、「学校教育の土俵のそと」といわざるを得ない。
以上のような厳しい情況の上に、昨年の6月には、第三の教育改革をうたった中教審の答申が発表されて、教育は、いよいよ知育偏重の姿勢を示さんとしており、一方、学校環境は、いよいよ地球的な規模に広がりつつある公害の中にあり、子どもたちの生命をおびやかしている。
学校保健は、どうしても、学校現場に定着させねばならない。このようなときに、昨年は、神戸で第18回近畿学校保健学会をお世話させていただき、皆さんの多数の心からのご参加を得て、学校保健の明日をご研究していただきましたことを深く感謝しております。そのとき、お約束しました「記録集」も、大変遅くなりましたが、近く出来て、お手もとにお届けできることと存じます。
いずれにしても、学校保健はいよいよ諸問題をたずさえて、皆さんとともに進展しなければならないと存じておりますが、今年は、新進気鋭の大阪教育大学の上林久雄教授を会長にいただき、大阪で、第19回近畿学校保健学会が開催される予定でございます。さらに新しい「学校現場に密着した学校保健」の開拓を皆さんとともに研究できることと存じ、心から期待しております。
――昭和47年3月25日 近畿学校保健学会通信 No.21 より――

第18回近畿学校保健学会
全国からの特別講演の講師と地元の座長を前面に立てての記念写真(神戸大学教育学部の前庭にて)
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