近畿学校保健学会

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 近畿学校保健学会へのそのときどきの想い 第 II 期
 

京都府夜間定時制高校における学校給食の現状

京都府立洛北高校 定時制   林  正


 義務教育学校に給食があることはよく知られており、小学校では実施されてすでに20年以上を経過している。そして最近の青少年の体格の向上の1つの要因として学校給食の普及があげられている。一般に夜間定時制高校の学校給食の実態についてはあまり知られていないようである。

 夜間という特殊な教育条件で学ぶ勤労青少年の健康の保持と食生活の改善に寄与することを目的として出発し、すでに8年を経過している。京都府にあっては、府立、市立の高等学校の夜間定時制課程に在学する者は約7,200人におよんでいるが、これらの在学生は、ほとんどの者が昼間は一定の勤労に従事し、その後夜間を利用して勉学している勤労青少年である。
 
 これらの勤労青少年のなかには、労働に従事する時間と学校の始業時間、終業時間と住居との関係などの事情から学校において夕食の完全給食(文部省の設定基準:パン、ミルク、おかず約950kcal)を希望する者が非常に多い現状である。現在府立高校では市内1校(山城高)、府下1校(福知山高)の2校の生徒に完全給食の制度が設けられているが、他の府立の12校については、いまだ完全給食の実現をみないで昭和37年以来続けてきた夜食と称する給食(パン、ミルク約380kcal)のみに依存している。

  一般に、定時制生徒の体格は全日制生徒の体格に比べて劣っている。また体力や運動能力面でも劣っていることは文部省の報告書においても明らかにされている。その原因が栄養不足やオーバーワークにあることを予想すると、伸び盛りの体格発育を著しく阻害する一つの要素になっていると考えられる。勤労学徒の健康管理において学校給食の占める意義は極めて大きいにもかかわらず、この実現が遅れている理由に、学校設置者が完全給食開設、実施の建て前になっているため、国庫補助が少なく、府の大きな財政的裏付けが必要となる点があげられる。

 今年度府立高校においては新に1校(洛北高 2学期から)完全給食実施の諸条件が整備され、開設されようとしているが、その背後には、学校給食の必要性を重視して教師集団の積極的な取りくみと府当局と再三の陳情、討議がなされた。現在まで府立2校の完全給食校のみで、その伸展をみなかった理由に、前記したごとく給食に必要な設備費、人件費など多くの経費がかかり、大きな財政的裏付けが要求されること。生徒の方からは、まずい、量が少ない(1食あたり25円生徒負担)など苦情が多く受給率が低くい(全校生徒の約40%)等があげられる。

  これらの反省を生かして洛北高での完全給食開設は、食堂施設の完備、業者委託方式により運営されるが、新しいモデルケースとしてその出発は期待されている。しかし現在の物価上昇の激しい時代の定時制生徒の食事、栄養に問題のある生徒の経済的能力によって限界づけられている。従って生徒の経済的負担を少なくして、しかも充分な栄養が与えられる方策を更に検討しなければ容易に解決出来ない問題がある。完全給食の実施、運営にあたっては、更に教師集団と生徒の理解を深める事は勿論の事、さらに学校保健関係各位の御協力をお願いしたい。


――昭和45年8月25日 近畿学校保健学会通信 No.18 より――

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