近畿学校保健学会

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 近畿学校保健学会へのそのときどきの想い 第 II 期
 

第10回近畿学校保健学会 特別講演
学校保健の立場からみた環境衛生について

         和歌山県立医科大学(衛生学・公衆衛生学教室) 教授   白川  充


1.学校保健の目的とその意義について
 昭和33年4月1O日に公布された「学校保健法」の第1章に、「この法律は、学校における保健管理に関し必要な事項を定め、児童、生徒、学生および幼児、並びに職員の健康の保持増進を図り、もって学校教育の円滑な実施とその成果の確保に資することを目的とする」と明示されている。しかして「学校保健計画をたてて、学校環境衛生の維持改善に努めねばならない」とその方針を示している。
 次いで、学校における健康診断や健康相談、学校保健技師や学校医等の職責を明らかにし、また伝染病の予防などについても、その具体的実施法を明記している。
 日本国憲法第25条には「すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する」として、国家はすべての国民の生活部面について、社会福祉、社会保障、及び公衆衛生の向上と増進に努めねばならないことを約している。
 また教育基本法第1条(教育の目的)の中で、「教育は、人格の完成をめざし、平和的な国家および社会の形成者として、真理と正義を愛し、個人の価値をたっとび、勤労と責任を重んじ、自主的精神に充ちた心身ともに健康な国民の育成を期して行なわれなければならない」とうたい、教育の児童生徒に対する精神的身体的に健全なる発達を図ることの重要性を強調しているのである。

かくの如く、学校教育の重要性とその発展に伴い、今後学校保健の果す役割は実に大きいものと云わねばならないが、しかしわが国における学校保健に関する視野と認識の程度については、公衆道徳の低級さや公衆衛生思想の欠如などと相並んで、未だしの段階にあり、われわれの前に学校保健に関して多くの問題が末解決のまま横たわっているように思われる。

2.学校保健はいかにあるべきか?
 そこで、学校保健を発展させるにはどうしたらよいかと云うことについて考えてみると、従来の欠陥として、学校と地域社会の学校保健に対する認織や理解が充分でなく、学校側においても、一般教職員が無関心であると云う現状を見聞するのである。従って、学校長は率先して、学校保健に関して指導を行ない、学校保健問題について積極的に推進して行く必要がある。いやしくも学校教師として、人間たる学徒を対象として取扱う以上、人間の健康問題について無智や無関心であってよいはずはない。むしろ心身ともに健康な社会人を作るためには、積極的に学校保健の立場から、学徒をいかに取扱うべきかについて充分なしかもかなりの専門的知識を持って貰う必要があると思うのである。従って教師養成機関(大学)においては、教育専門科目と同等に「学校保健」を必須科目として課すべきであると主張したいのである。勿論、一部の教育系大学において、保健学講座のある所で、必須科目となっているところもみうけられるが、全国的にみると極めて少ないのが実情であり、この点について文部省および関係当局におかれても、充分の御検討と御推進をお願いする次第である。

3.講演内容要旨

 a 学校保健の教育的意義  
 b 戦後における公衆衛生の主要指標の推移について
 c 学校保健に関する統計的資料
 d 学徒の生活環境の諸問題点
   @家庭生活環境と児童の知能発達について
   A栄養と発育
   G学校給食と食品衛生
   C伝染病および寄生虫病の予防
   D視力障害と学校教室内照度
   E無医地区における学徒の生活環境ならびにその保健衛生に関する諸問題
   F学校環境における騒音等の公害問題
   G交通災害と安全について
 e 体育と疲労について
 f 健康教育は、学徒のみならず教職員にも必要


――第10回近畿学校保健学会 抄録集より――

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